中国のエフェクターブランドNUXの「cerberus（ケルベロス）」は、アナログ回路による歪み系エフェクトとデジタル回路によるモジュレーション／空間系エフェクト、合計16種類のエフェクトを搭載し、スイッチングやルーティングなどの操作はデジタルでコントロールされ、32Bit/88.2KHzという高品位なサウンドと超低レイテンシーを実現し、IR（インパルスレスポンス）によるキャビネットシミュレーターを搭載するなど、多くのユニークな機能を持つ気鋭のインテグレイテッド・マルチエフェクターです。

操作方法と搭載エフェクト

Cerberus（ケルベロス）の本体はディストーション／オーバードライブの「歪み系」、ディレイ／モジュレーションの「空間系」と、大きく分けて2つのブロック・4つのセクションに分けられています。各セクションにはそれぞれ専用のパラメータ操作ができるツマミが用意され、単体のエフェクターを4つ直列に並べたような感覚で直感的に音作りができるようになっています。好みのサウンドは128種類まで本体に保存できます。歪み、空間系それぞれに独立した入出力端子が用意されているので、好みの外部エフェクターの接続も思いのままです。

歪み系エフェクト

歪みは2種類を用意。「Blues Breaker」は70年代のジミ・ヘンドリックスのギターサウンドを彷彿とさせる、中域が抑えられたリッチなオーバードライブ、「Brown Anger」はマーシャルアンプを彷彿とさせる、豊かで分厚い中低域を持ったハイゲイン・ディストーション、いずれもアナログ回路で構成され、パラメータはデジタルコントロールしています。また2つの歪みは

DRIVE → DIST（直列） ／ DIST → DRIVE（直列） ／ パラレル（並列）

という3パターンの並び方を選択することができ、組み合わせ方によってさらに重厚な歪みサウンドが得られるようになっています。

モジュレーション／空間系エフェクト

モジュレーションはコーラスx3／トレモロ／フェイザー／U-Vibeの6種類を用意。
コーラスは70年代ビンテージコーラスサウンドの「CE Chorus」、宇宙的／空間的／立体的／ドリーミー／アンビエントな「SC Chorus」、定番のコーラスサウンド「ST Chorus」という3種類が用意され、トレモロ・フェイザー・ユニヴァイブとは別にON/OFFすることができます。

ディレイは60年代テープエコー風ディレイの「60’s」、70年代BBD-ICを採用したアナログディレイ風の「70’s」、80年代風デジタルディレイ「80’s」の3種類。タップテンポ機能が使えます。

リバーブはプレート／ホール／スプリングの3種類となっています。

IR対応のキャビネット・シミュレーター

IR（インパルス・レスポンス）ファイルに対応したキャビネット・シミュレーターを搭載している点も見逃せません。USB端子からケーブルを通してパソコンと接続し、NUXのWebサイトから提供される無料ファイルや市販のIRファイルを読み込むことで、Cerberus（ケルベロス）をキャビネットシミュレーターとして使用することができます。この時に出力端子から聞かれるのは、アンプのキャビネットを通したようなリアルなギターサウンドです。

出力端子は2つ用意されているので、2台のアンプに接続する、1本をギターアンプに繋ぐ／もう1本をPAミキサーやレコーダーに繋ぐなど、ライブでの実践的な使い方も可能です。Speaker Cab Simのボタンによってシミュレータ機能のON/OFFが行えます。

4ケーブル接続方式

その他

MIDI対応のため、外部MIDI機器から本機のプリセットの切替、フットスイッチ操作によって外部へMIDI信号の送出も可能。その他ループ・スイッチャー機能、ボリュームブースト・ツマミ、チューナー搭載、キルドライ機能、ヘッドフォン端子、EXPペダル端子を搭載。USB接続によってエディターソフトの使用やアップデートも行えます。

単体での使用、外部機器との連携、コンパクトで直感的な操作と、多彩な機能と高い柔軟性を兼ね備えていながらも、比較的リーズナブルな価格帯を実現しています。