ダンブル系オーバードライブ・エフェクター特集2015年10月31日

ダンブル系エフェクター特集

サウンドにこだわるギタリストであれば、誰もが一度は鳴らしてみたい…そんな憧れの存在がダンブルアンプでしょう。
多くのトップギタリストに愛用されていることから、その名前は聞いたことがあるものの、どういったアンプなのかがイマイチわからない、という方がほとんどだと思います。増して、実際に使用したことがある、という方はほとんどいないのではないでしょうか?

ここでは、そんなダンブルアンプについて、そしてそのサウンドを手軽に再現することのできるダンブル系エフェクターについてお話してみたいと思います。

そもそもダンブルアンプって何?

まず、ダンブルアンプとはどのようなものなのでしょう?最初にその点についてお話させていただきたいと思います。
ダンブルアンプとは、アメリカのギターアンプ職人であるハワード・ダンブル氏の手によって、主にブラックフェイス期のフェンダーアンプをベースとして制作されるカスタムメイド・アンプです。完全な個人製作となりますので、その全てがオーダーメイド品です。

世の中にはダンブル氏と同様にカスタムメイドのアンプを制作しているビルダーは決して少ないわけではありません。しかし、どうしてダンブルアンプだけがズバ抜けて高い評価を受けているのでしょうか?

一台一台設計を変えて制作

その最大の理由は、そのギタリストのプレイスタイルや、求めているサウンドを具体的な形にするために、一台一台設計を変えて制作している、という点でしょう。そのため、ダンブル氏はたとえどんなお金を積まれたとしても、彼の認めるギタリストやエンジニアが相手でなければ決してアンプを制作することはない、と言われています。

もちろん、価格も最低でも数百万円以上と非常に高価である、という点や、完全個人製作であることから生産台数が限られてしまう、という点もダンブルアンプの入手を難しくする要因ではあります。しかし、何よりも、ダンブル氏が認めた人物しか手に入れることができない、という点によって、ダンブルアンプは幻の逸品と呼ばれるようになったのです。

ダンブルアンプのサウンドの特徴

前述の通り、一台一台異なったスタイルで製作されているので、すべてのダンブルアンプが同じサウンドをアウトプットしてくれるわけではありません。しかし、ダンブルアンプならではのサウンドの傾向があります。

基本はブラックフェイス期のフェンダーですので、レスポンスが非常に早く、抜ける音…簡単に言ってしまうとこのようなキャラクターを持っています。

ラリー・カールトン

ダンブルアンプの愛用者としてもっとも有名なのがラリー・カールトンでしょう。

彼のサウンドは完全にダンブルによって作られていると言ってしまっても過言ではないでしょう。
繊細なピッキングを確実にキャッチしてくれるレスポンスの早さは、ノーマルのフェンダーアンプには不可能です。彼の名演の多くはダンブルがあったからこそ、表現することができたのです。

スティーヴィー・レイ・ヴォーン

また、スティーヴィー・レイ・ヴォーンもダンブルアンプの使用者としてよく知られています。
残念ながらスティーヴィーに関しては映像でダンブルを使用している映像はほとんど残されていませんが、後期のアルバム「In step」などでダンブルならではのサウンドを聴くことができます。

ジョン・メイヤー

John Mayer's Amps @ Crossroads Festival Crossroads Festivalでのジョンメイヤーのアンプ:左がDumble Steel String Singer

ジョン・メイヤーに関しても、Two Rockがメインのギターアンプですが、ライヴではダンブルアンプも常にセッティングされており、ここぞという場面で使用されています。

ピッキングする前に音がでる…そう称されるほどに早いレスポンス、そして抜けるのに、決して耳障りではない…そんなサウンドを実現してくれるのがダンブルアンプなのです。

ダンブル系エフェクターとは?

このように、ダンブルアンプは世界中のトップギタリストに愛用されている名機ではありますが、やはり、生産台数も少なく、もし、市場に出ているものを発見できたとしても価格は数百万円にものぼりますので、簡単に入手することはできません。ダンブルアンプを模したアンプもさまざまなメーカーから登場してはいますが、これらのレプリカもやはりかなり高額です。

そこで、もっと気軽にダンブルサウンドを楽しむ手段として登場し、近年高い人気を集めているのがダンブル系エフェクターです。
ダンブル系エフェクターはその名の通り、エフェクターによってダンブルアンプのサウンドを再現しようというものです。これらをフェンダー系のチューブアンプと組み合わせることによって、かなりリアルなダンブルサウンドを再現することが可能となります。

冒頭でお話しました通り、ダンブルアンプには非常に個体差が多く、さまざまなサウンドのものが存在しています。それと同様にダンブル系エフェクターにも、多くのバリエーションが存在しており、今や、一つのジャンルとして成立するほどになっています。

前置きが長くなってしまいましたが、さまざまなダンブル系エフェクターについてご紹介してみたいと思います。

ダンブル系エフェクターの代表モデル

各メーカーから販売されている代表的なダンブル系エフェクターです。

Custom Tones Ethos Overdrive

まず、最初にご紹介したいのが、ダンブル系ペダルの完成系とまで言われているCustom Tones Ethos Overdriveです。名前はオーバードライブとなっていますが、完全独立イコライザーを搭載するなど、エフェクターペダルと言うより、ダンブルアンプのプリアンプ部をそのまま抜きだしたもの、と言ってしまっても良いほどです。細かいサウンドメイクが可能な一台となっていますので、あらゆる場面でダンブル風の極上サウンドを使用することが可能です。
価格は100,000円前後と決して安くはありませんが、ダンブルアンプの入手の難しさや価値を考えれば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。ダンブル系のサウンドを求めるのであれば、まず試していただきたい一台です。

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HERMIDA AUDIO ZENDRIVE

Hermida Audio Zendrive

ダンブル系オーバードライブの定番ペダルが HERMIDA AUDIO の ZENDRIVE 。HERMIDA AUDIO のエフェクターはかつては国内での入手が難しかったものの、現在はディストリビューターが登場し手に入れやすくなっています。ZENDRIVEは同社の代表的なモデルで、真空管を搭載した Zendrive 2 など派生モデルが登場しています。

HERMIDA AUDIO ZENDRIVE

Mad Professor Sweet Honey Overdrive

Sweet Honey Overdrive

ブティック系エフェクターブランドとして高い人気を集めているMad Professorの定番オーバードライブペダル、Sweet Honey Overdrive。これもまたダンブル系エフェクターに分類されます。ハンドワイヤードのモデルと、廉価モデルの2バージョンが存在していますが、どちらにしてもダンブル系の心地よいオーバードライブサウンドをアウトプットしてくれます。
シンプルな操作性から、初心者の方でも扱いやすく、ダンブル系エフェクターの入門機としてもおすすめすることができます。もちろん、ダンブル系のサウンドではなく、良質なオーバードライブサウンドを必要とする場面でも活躍してくれる汎用性の高い一台です。

Mad Professor Sweet Honey Overdrive

CE PEDAL FET Dream

ダンブル系エフェクターとしてよりも、良質なオーバードライブペダルとして、非常に高い評価を受けているのがCE PEDAL FET Dreamです。抜けが良くも、同時に暖かく、柔らかいサウンド…ダンブルアンプのこういった面を再現してくれる素晴らしいペダルです。
実売価格は25000円前後となっており、同価格帯のオーバードライブペダルの中でも、圧倒的な存在感を放つ一台となっています。

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Simble Overdrive

Simble Overdrive

ダンブルアンプの特徴として、よく語られるナチュラルなサウンドに、早いレスポンス。この点をストレートに再現しているのがSimble Overdriveです。サウンドメイクの仕方によってはやや硬めなサウンドになってしまいがちですが、より、抜けるサウンドを簡単に作ることのできる一台となっています。真空管アンプ独特の雰囲気を追加してくれますので、ローランドのJCをはじめとするトランジスタアンプとの相性も抜群です。

Simble Overdrive

Simble Pedal Twimble

同じくSimbleから、上記紹介の「Simble Overdrive」と「Simble Predriver」の2つのペダルを一台にまとめた2フットスイッチのオーバードライブ・ペダル。ダンブルアンプのような上質な歪みが得られるのはもちろん、Simble Overdriveよりもさらに幅広い音作りが可能となったモデルです。

Simble Pedal Twimble

Wampler Pedals Euphoria

ダンブル系に分類されるエフェクターペダルの中でも、特に素直なキャラクターを持っているのがWampler Pedals Euphoriaです。ギターやアンプの個性を殺すことなく、ダンブル系の雰囲気を加えてくれることから、あらゆる場面で活躍してくれる一台と言えるでしょう。
また、歪みのタイプを切り替えることのできるミニスイッチを搭載していることから、ナチュラルなオーバードライブサウンドから、過激なディストーションまで作りだすことができるのも大きな魅力です。

Wampler Pedals Euphoria

Jetter Gear GS124

ダンブル系と言うよりも、良質なチューブアンプのサウンドを手が津に再現することのできるペダルとして高い評価を受けているのがJetter Gear GS124です。ダンブル系のサウンドを目指して設計されていますが、トランジスタアンプに真空管的なニュアンスを追加することに非常に長けた一台です。
トランジスタアンプだけでなく、ヘッドルームが広く、硬質なサウンドになってしまいがちなフェンダー系アンプに温かみをく加えるといった用途でも使用することが可能です。
幅広い用途で使用することのできる非常にハイクオリティな一台となっていますので、ダンブル系サウンドを求めている方のみでなく、さまざまなギタリストに試していただきたいペダルです。

Jetter Gear GS124

Mojo Hand Fx DMBL

純粋にサウンドにダンブルアンプ的なキャラクターを追加したい…そんな時に試していただきたいのがMojo Hand Fx DMBLです。一般的なダンブル系ペダルのほとんどは、歪みエフェクターとしてのキャラクターが非常に強いものです。それに対して、同モデルは歪み量は控えめであるかわりに、とてもナチュラルなサウンドを生み出すことが可能です。

Mojo Hand Fx DMBL

HAO RUMBLE mod.

国産ブティック系ブランドのHAOのプレミアムオーバードライブに位置付けられている同モデルも、ダンブル系ペダルとして非常に人気を集めています。ナチュラルでアンプライクなサウンドをアウトプットしてくれますので、さまざまなタイプの音作りに対応してくれます。
ただ、歪み方にやや癖がありますので、慣れるまでは少しだけ苦戦してしまうことになるかもしれません。しかし、その歪みを含めて使いこなすことができれば、強力な武器となってくれることでしょう。

HAO RUMBLE mod

Pedal Tank Dumble Drive

タイのエフェクターブランド「Pedal Tank」によるダンブル系オーバードライブです。他のダンブル系ペダルが2万円を超えてくる中、このモデルは1万円代と比較的リーズナブルな価格で手にいれることができ、ダンブル系ペダル入門機種に最適なモデルですが、ホワイトのボディにはシンプルながら品のあるイラストがデザインされており、興味をそそられます。

Pedal Tank Dumble Drive

Blackberry JAM Silverberry

2015年8月に登場した、Blackberry JAMによるダンブル系ペダル「Silverberry」。高解像度/ワイドレンジ/ハイレスポンスといったBlackberry JAMのペダルが持つ特徴はそのままで、ダンブルアンプが持つ繊細なピッキングニュアンスの再現力/アンプサウンドの倍音と操作性が徹底的に突き詰められています。オーバードライブとしてはもちろん、ブースターとしても使用できます。

Blackberry JAM Silverberry

One Control Golden Acorn OverDrive Special

2016年12月に登場したGolden Acorn OverDrive Specialは、国産ブランドOne Controlによるダンブル系ペダル。ここまで紹介してきた中で唯一のミニサイズであり、取り回しの良さは抜群です。またPedal Tank Dumble Driveと同様、並み居るダンブル系の中でも1万円代という価格帯も魅力の一つ。国産ということで海外製品よりもコストを抑えて手に入れることができるのは大きなアドバンテージです。

One Control Golden Acorn OverDrive Special

ダンブル系ペダルはどう使用するべき?

このように、さまざまなエフェクターブランドからダンブル系のエフェクターが登場しています。
これらのペダルはどのように使用すべきなのでしょう?

もちろん、エフェクターの使い方は人によってさまざまですし、決まったルールがあるわけではありません。しかし、求めるサウンドに応じてある程度のセオリーがあります。

ダンブルアンプのようなサウンドを求める場合

実際のダンブルアンプに近いリアルなサウンドを求める場合、プリアンプ的に使用するのがベストでしょう。プリアンプをバイパスすることのできるタイプのアンプであれば、そこに接続することによって、簡単なダンブルクローンとして使用することも可能です。
プリアンプのバイパスができないものの場合も、アンプの直前に接続することによって、よりダンブルアンプ的なキャラクターをリアルな形で追加することが可能です。

オーバードライブペダルとして使用する場合

ダンブル系エフェクターの多くは、良質なオーバードライブとしての一面も持っています。この場合は、他のエフェクターとの相性を考えながら好みの位置に接続して使用しましょう。
もちろん、ブースターとして非常に優れた効果を発揮してくれるモデルも少なくありませんので、さまざまなスタイルで使用してみましょう。