ファズペダルの定番、BIG MUFF特集2021年4月19日

BIG MUFF特集

BIG MUFF(ビッグマフ)と言えば、ファズのエフェクターの中でも最も始めに名の挙がる定番中の定番です。歪みエフェクターというとファズしか存在しなかった70年代初頭、ひときわ豊かな倍音を持ちスムーズな音色であったビッグマフは、ロックギタリストの間で絶大な人気を博すことになりました。ここではそんなビッグマフの系譜から、エレクトロハーモニクス社による現行品の数々、そして他メーカーによるクローンモデルまで、幅広く見ていきましょう。

ビッグマフの歴史

1969年、エレクトロ・ハーモニクス社の創設者であるマイク・マシューズは、既存のMuff Fuzzというオーバードライブペダルにディストーション回路を搭載させることを思いつきます。彼は社の技術者であるボブ・マイヤーに相談し、それを形にすることに成功。その後、トーン回路の修正を経て、記念すべきビッグマフのプロトタイプが登場しました。

プロトタイプはニューヨークの楽器店マニー・ミュージック・ストアに委託されて販売されることになり、程なくしてマイク・マシューズは素晴らしい連絡を店から受けることになります。店の主人ヘンリーからの報告は「一台をジミ・ヘンドリックスに販売した」というものでした。

「ビッグ・マフ・パイ(Big Muff Pi)」という正式名称で完成版が発売されたのは1971年のこと。ジミ・ヘンドリクスはすでにこの世の人ではなかったにもかかわらず、最初期の使用者として有名なのはこのような事情があるからです。彼はビッグマフのプロトタイプを大変気に入って、セッションに持ち込んだという逸話もあり、ビッグマフ自体が彼の音を目標として作られていたという説もあります。

ビッグマフは登場後、初期型の「トライアングル」、二台目「ラムズヘッド(羊の頭)」とモデルチェンジを行い、その後に登場した「3rd version」は84年頃まで製造されました。ところが、エレクトロ・ハーモニクス社はその後に倒産。創設者はロシアに渡り会社を再興し、SOVTEKというブランドで再出発を図ります。

ロシアでの会社設立より数年、91年〜93年頃、SOVTEKブランドから改めて登場したビッグマフは、その東欧的なルックスから「Civil War」、「Army Green」などと呼ばれるようになります。この時期のロシアンモデルはそれまでのモデルとはまた違った魅力を持ち、現在でもカルト的な人気を誇ります。

現在ではエレクトロ・ハーモニクス社はニューヨークに本社を置き、ビッグマフのみならず、様々なエフェクターを開発製造する、アメリカを代表するエフェクターメーカーです。現行品のビッグマフは、3rd Versionのルックスをベースとしながら使いやすくチューンナップされた新たなモデルとなり、また復刻品を含む数多くの派生モデルがラインナップされ、現在もファズエフェクターのトップに君臨し続けています。

主な使用ギタリスト

70年代を通してビッグマフはたくさんの著名なギタリストに支持されました。カルロス・サンタナ、デイヴ・ギルモア(ピンク・フロイド)、ラッシュ、シン・リジィ、KISS、フランク・ザッパ…、無数のギタリストがアルバムやツアーなどでビッグマフを使用しています。


The Smashing Pumpkins – Cherub Rock
アルバム「Siamese Dream」の冒頭曲。アルバムを通してビッグマフのサウンドが鳴り響いている

90年代になってもその人気は衰えることなく、ロシア製のビッグマフを含む様々なモデルが、ニルヴァーナ初期のカート・コバーン、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン、ダイナソーJrのJマスシス、NOFXらに愛用され、グランジ・オルタナティブムーブメントの隆盛に一役買うことになりました。また同時期にKoRnは重低音リフとビッグマフを組み合わせることで、独自のヘヴィ路線の音楽を構築しています。

ビッグマフの系譜

70年代初頭の登場以降、ファズ的なチリチリ感が少ない比較的マイルドな歪み、という大枠は変わりませんが、細やかな部分は随所に変化が見られ、サウンドもそれなりに変質していきます。ここでは現行モデルまでの代表的機種を見ていきましょう。

BIG MUFF 「Triangle」、BIG MUFF π 「’72」

BIG MUFF Triangle

つまみの位置が三角形に配置されているためトライアングルと呼ばれる最初期型ビッグマフ。最も初期のものは71年発売当初のもの、’72モデルが若干後のものになります。配線がポイントトゥポイントになっているものやプリント基板のもの、つまみの材質など、内外の差を含めて様々なバージョンが存在します。ジミ・ヘンドリクスの使用したプロトタイプはこれに近いものであったと思われます。


Big Muff Triangle Samples

音色は暴れる感じはあるものの、意外にもクリーミーなサウンドが得られるのが特徴。通常のディストーションとしても十分使えるサウンドです。トーンコントロールが操作の要であり、ディストーションっぽい滑らかな歪みからファズ的なチリチリした歪みまでをここだけで制御します。そんなトーンつまみは現在の通常の操作とは逆で、左に回すことで高域がきつくなり、右に回すとマイルドに。左に回していくと次第にファズ的な成分が登場してきます。

BIG MUFF 「Ram’s Head」

BIG MUFF Ram’s Head

右下に書かれたイラストが羊の頭に見えることからラムズヘッドと呼ばれる、二台目のモデル。

いわゆるファズのイメージをそのまま彷彿させるチリチリした成分が強くなり、一代目以上に荒々しいサウンドが得られます。やはり要はトーンコントロールであり、上げていくにつれて叫ぶような音色になり、一転下げるとまろやかになり落ち着いたサウンドへと変貌します。その可変幅は相変わらずどころかトライアングル期モデル以上の広さで、とてつもなく幅広い音色幅を持つに至っています。


Big Muff Ram’s Head Samples

BIG MUFF 「3rd Version」

BIG MUFF 3rd Version

最も良く知られるルックスのこのバージョンは80年代中盤まで製造されました。トーンのコントロールはこれまでとは逆で、右に回すと高域強調。現代のエフェクターと同じような操作性に落ち着いています。

全体的に高域が強くなり、よりアグレッシブに感じるモデルですが、歪みの質はやや細かくなっている印象。かみつくような歪み方は良質なディストーションとしても十分で、様々なシーンで使いやすくなりました。

これまでのモデルのようにトーンが全てを決める、というようなつくりではなくなってきつつありますが、相変わらず可変幅は非常に広く、ファズ的なサウンドとディストーション的なサウンドをトーンつまみで自在に行き来できるという、それまでの特徴をそのまま受け継いでいます。

BIG MUFF 「Civil War」

SOVTEKというブランドで復活を果たしたロシア製ビッグマフの第一号機。トーンもこれまでのモデルのように、音色全体を劇的に変えるほどの効果は持たず、ファズというにはチリチリ感が少ないような印象も与えます。東欧的な乾いた歪みに、これまで以上にローゲインも視野に入れたような作りは、ニューヨーク期のモデルと明らかに一線を画しているように感じられます。

太く野性味がありながらも冷たく乾いたサウンドはこの頃のモデルでしか得られない音であり、この時期のモデルに独特の人気が集まる要因ともなっています。


Big Muff Civil War Samples

BIG MUFF 「Army Green」

BIG MUFF Army Green

緑色が印象的な「アーミー・グリーン」はロシア期のビッグマフを代表するモデル。凄まじい低音が特徴で、それゆえにベースプレイヤーからも注目を浴び、後のBass Big Muffへと繋がります。

低音は非常に強いものの、ディストーション的な乾いた歪みをそのままに、より洗練されたサウンドを持つようになりました。使い勝手がよく魅力的なサウンドが根強い人気を誇り、現在でも復刻モデルの発売が絶えません。ついにはエレクトロハーモニクス社が公式に「Green Russian Big Muff」として発売。90年代ごろのエフェクターがこれほど復刻の対象になるケースは稀と言え、完成度の高さが窺えます。

BIG MUFF 黒地モデル

90年代後半のSOVTEK最後期のモデルです。「Army Black」とも呼ばれ、黒に黄色の文字というサンズアンプを彷彿させる無骨なルックスが妙に強そうな印象を与えます。

サウンドはCivil War、Army Green以降の延長上にあるもので、図太いサウンドをたたき出してくれるのは従来通り。歪みが若干ながら細かくなり、よりディストーション系の音色に舵を切っているのが変化したポイントでしょう。ハードロック、ヘヴィメタルなどのジャンルにも違和感なく使える良質な歪みペダルとなっています。トーンは非常に良く効きますが、初期に見られるように劇的なほどの効果を持たないところもCivil War以降のモデルと似た仕様です。


Electro Harmonix Big Muff Pi Russian

現行のビッグマフ・ペダル

BIG MUFF (Current Version)

BIG MUFF 3rd Version

「BIG MUFF Pi」とも呼ばれる現行品のビッグマフ。相変わらずの巨大な筐体に、ルックスは3rd versionのそれを踏襲し、実用性を考慮してLEDが付けられました。音色は「3rd version」のアグレッシブなファズサウンドと、ロシア期のディストーション系サウンドの間を取ったような雰囲気のものになっており、ファズと銘打ちながらも幅広い音楽に対応可能なものを目指したと思われます。

BIG MUFF (Current Version)

Nano Big Muff PI

Nano Big Muff PI

オリジナルのビッグマフは、生み出されて以来独特の巨大な筐体が特徴でしたが、「Nano Big Muff PI」はそのビッグマフを通常のエフェクターサイズに収めたものになっています。大きく重いオリジナルの不利な部分を改善し、音質面はほぼ変わらないという使い勝手のいいものになりました。

Nano Big Muff PI

Little Big Muff Pi

Little Big Muff Pi

Little Big Muff Piは、元々70年代に作られていた同名のエフェクターを現代に復刻したもの。70年代に生み出された元のモデルはボリュームとトーンという二つのコントロールのみの仕様でしたが、この新しいモデルはサステインが加わり、ほぼ通常モデルと差のない仕様に落ち着いています。音色は現行のオリジナルと少し違い、よりヴィンテージ感の強い、ラムズヘッド辺りの時期のファズサウンドを指向しています。

Little Big Muff Pi

Triangle Big Muff Pi

Electro Harmonix Triangle Big Muff Pi

2018年9月登場、1969年に登場したV1(1st version)と呼ばれた元祖ビッグマフを、サウンドはもちろんシルバーカラーのボディやグラフィックに至るまで忠実に再現。エフェクターボードにも入れやすいnanoシリーズで復活させたモデル。鋭く抜けるハイミッド、暖かみのある程よいゲイン、クリーミーでバイオリンのようなサスティーンと、チリチリと毛羽立った轟音ファズサウンドが得られます。

Electro Harmonix Triangle Big Muff Pi

Ram’s Head Big Muff Pi

Ram’s Head Big Muff Pi

2019年10月登場、1973年に作られたラムズヘッド期「Ram’s Head Big Muff」を忠実に再現したモデル。オリジナルを彷彿とさせるカラーリングとグラフィックをまといながらも、DC9V対応/LED搭載/トゥルーバイパス化が施されるなど現代的にアップデートされています。

Electro Harmonix Ram’s Head Big Muff Pi

Green Russian Big Muff

Green Russian Big Muff

90年代にロシア製マフとして人気を博した、通称「アーミー・グリーン」。くすんだ緑色のルックスをそのままに、小さなサイズで復刻されました。特徴はややディストーション寄りにシフトしていたロシア製ビッグマフの音色と、何といっても、ベーシストに支持されるほどの圧倒的なローエンドです。

Green Russian Big Muff

Op-amp Big Muff

Electro Harmonix Op-amp Big Muff

1970年代後半にわずかな数しか製造されなかった、オペアンプを採用したビッグマフ「Op-amp Big Muff」。希少価値の高さから中古市場で途方もない価格で取引されていたことを受けて、Electro Harmonix社の創設者であるMike Matthews氏は同ペダルを復刻させることを決断。2017年12月に復刻版として新たに「Op-amp Big Muff」がリリースされました。
他のマフペダル同様に3ツマミの操作系統を装備。また当時と同様に本物のオペアンプを採用し当時のサウンドを再現していますが、新たにコンパクト化/トゥルーバイパス化されるなど、現代でも使いやすいようにアップデートされています。

Op-amp Big Muff

Deluxe Big Muff Pi

Deluxe Big Muff Pi

数あるビッグマフの製品中、最大のサウンド可変幅とバリエーションを誇るフラッグシップモデル。
音色はニューヨークのオリジナルビッグマフのものを踏襲していますが、MIDブーストセクションを完全に増設し、中域を細かく制御できるようになりました。コントロールも従来のものよりもはるかに増え、ボリューム、トーン、サステインという3つをそのままに、アタック感を制御するATTACK、ノイズゲートとして使えるGATEを追加。その上、ミニスイッチでベースブーストモードも使用可能です。また、MIDブーストセクションでは、周波数、可変帯域の広さを任意に変えながら、中域部を上げ下げ出来ます。

従来のビッグマフに、良質なEQブースターを合体させたようなこのモデル、フラッグシップモデルの名に恥じないサウンド幅の広さをもつ決定版となっています。

Deluxe Big Muff Pi

Big Muff Pi with Tone Wicker

Big Muff Pi with Tone Wicker

オリジナルのビッグマフにTONEとWICKERというミニスイッチを二つ増設したモデル。TONEでは上部のトーンコントロールをバイパスでき、WICKERでは高域のフィルターを通すことで、鋭いサウンドに変えることができます。WICKERをオンにした時のかみついてくるようなサウンドはもうひと味存在感が欲しいと言ったときに使い勝手の良いものになるでしょう。

Big Muff Pi with Tone Wicker

Germanium 4 Big Muff

Germanium 4 Big Muff

4つのゲルマニウム・トランジスタを使用しているところからこのように名付けられたモデル。内部は完全に二つのモデルが独立して入っている設計になっており、片方をオーバードライブ、片方をディストーションとして使うことができます。両モデルに別々のゲインやボリュームが付いており、BIASというコントロールでは各々の歪みの質感を変えていくことができます。また、ディストーションに付いたVOLTSというコントロールは、電池の減りをシミュレートするという、あまり他に見ないユニークなものとなっています。

歪み方の違う2チャンネルを別個に使うも良し、両方を一気に使い破壊的なサウンドを生み出すも良しと、自在な使い方が可能となる幅の広いモデルです。また、やや乾いたサウンドはロシア期のモデルを彷彿させるものがあります。

Germanium 4 Big Muff

ベース用ビッグマフ(Bass Big Muff、Nano Bass Big Muff Pi、Deluxe Bass Big Muff)

ベース用ビッグマフ

低音が特徴的であったことから、ベーシストに特に人気を博したロシア期アーミー・グリーン・ビッグマフ。この系譜にあるビッグマフがこのベース用として開発されている面々です。いずれもルックスはアーミー・グリーンを意識した緑色に統一され、ベース用として十二分な低音を確保しながらも、ビッグマフの持つ攻撃的な歪みが与えられています。メインとなる周波数帯域の違いを除けば、各製品はギター用の同名モデルとほぼ同じですが、エフェクトの掛かっていない原音を混ぜるためのスイッチを確保。中でもDeluxeは任意の帯域を境としてエフェクト音とドライ音を自在にブレンドできる機能が備わっています。綿密な作り込みを可能とした仕様はさすがにフラッグシップモデルならではです。

Bass Big Muff
Nano Bass Big Muff Pi
Deluxe Bass Big Muff

ビッグマフを再現した他社製エフェクター

トライアングル期、ラムズヘッド期のビッグマフは現在入手困難なため、特にクローンモデルが多く開発されています。また、カリスマ的人気を誇るロシア時代のものも、その時期の音色を狙ったモデルが様々なブランドから登場しています。

JHS Pedals 「NANO BIG MUFF MOON PI Mod」

NANO BIG MUFF MOON PI Mod

JHS Pedalsによる、Nano Big Muffのモディファイ・エフェクター。3種の音色切替を可能とするトグルスイッチと、一定量以下の信号を切り捨てるゲートを増設。トグルスイッチではクリップ量を選択でき、太さの残るディストーションサウンドからクリッピングの激しい、チリチリしたファズのサウンドまでが3種選べます。ゲートを併用して使うことで、不安定で退廃的なオールドファズの音色に近づけることも可能。

JHS Pedals NANO BIG MUFF MOON PI Mod

JHS Pedals「Muffuletta」

Muffuletta

トライアングル期からアーミーグリーン期まで、5種類のビッグマフサウンドとJHSのモディファイ品を含む、計6種類のファズサウンドをスイッチで切り替えて使える、ビッグマフコピー系エフェクターとしては決定版に近いモデル。全体的には品質良くまとめた印象が強く、オリジナルと若干の差異は認められるものの、完全なるクローンではなく使いやすいモデルを目指したがゆえでしょう。音質面では妥協を許しておらず、実用としては申し分ない製品です。

JHS Pedals Muffuletta

WAY HUGE「Russian Pickle Fuzz」

Russian Pickle Fuzz

アナログディレイで有名なWAY HUGEのロシア製ビッグマフのコピー。ルックスもオリジナルを意識した緑色に統一され、オリジナルと同じシリコントランジスタを使用。使いやすい乾いたディストーション的歪みと、ベースプレーヤーを多く虜にした強力な低音をオリジナルに忠実に再現しています。コントロールもオリジナル同様シンプルでありながら、トーンは非常に使いやすい帯域にセッティングされており、狙ったサウンドに近づけやすいのも魅力です。

WAY HUGE WHE408 Russian Pickle Fuzz

WAY HUGE「Swollen Pickle MkII」

Swollen Pickle MkII

こちらは同じくWAY HUGEのものですが、トライアングル期のビッグマフに近い音色を指向しており、元祖ビッグマフ系ペダルとして人気を博している一品です。トライアングル期の音色をベースとしつつも、ミッドカットを調整するScoopや、歪みの質感を調整するCrunchといった独自のコントロールを備え、多彩な音を作れるのが魅力。現行品のMkIISに比べ、初代はよりクラシックな音色を持っていましたが、手に入りにくく、プレミア価格となっています。

WAY HUGE Swollen Pickle MkII

One Control「Baltic Blue Fuzz」

Baltic Blue Fuzz

トライアングル期やラムズヘッド期の初期ビッグマフ系の音色をベースとしながら、現代風の味付けをしているモデル。フラットな音質であるオリジナルに比べると、やや中域部分にふくらみを持たせ、使いやすい音色に仕上げています。トーンコントロールがサウンドのカギを握っており、これの設定次第によって、ライトなオーバードライブからハードディストーション、はてはどぎついファズサウンドまで幅広い音色が作れます。ファズ特有のチリチリ感は強くは感じられずアクセント的なものに終始していますが、それゆえ使いやすくもあり、高い汎用性を持ちます。

One Control Baltic Blue Fuzz

Animals Pedal「FISHING IS AS FUN AS FUZZ」

FISHING IS AS FUN AS FUZZ

エフェクター専門店として有名なナインボルトが送る自社ブランドAnimals Pedal。キュートなルックスも目を引く同社のエフェクター群ですが、このペダルはファズの第一号となります。初期のクラシックファズではなく、使いやすい現代風のディストーション的ファズということでCivil War期のビッグマフを志向して作られました。クローンではないと公式の製品紹介にあるものの、音色の指向性はかなり本家に近く、かみつくような歪みやトーンコントロールの幅広い音色変化など、オリジナルを彷彿させる要素が随所に見られます。使いやすさを重視し、低音をよりタイトに高域を明瞭にチューンされており、どのようにセッティングしても使える音をたたき出します。

Animals Pedal FISHING IS AS FUN AS FUZZ

Wren and Cuff「The Caprid」

Caprid Small Foot

オールドビッグマフの再現を目指したペダルとしては有名な一品。二代目であるラムズヘッドのコピーを目指して製作されています。オリジナルを多分に意識したスチールむき出しのルックスにLEDを備え、高域が強いラムズヘッドの歪み方を再現。トーンの可変幅や回す方向まで、オリジナルに可能な限り迫っており、ヴィンテージビッグマフのファンに幅広く愛されています。

Wren and Cuff Caprid Small Foot

Wren and Cuff「Tri-Pie’70」

Tri-Pie'70

上と同じくWren and Cuffのクローン系ペダル。こちらはトライアングル期のサウンドを狙ったものです。「The Caprid」とは違い、ルックスまで似せるという感じではなく、巨大な本家に比べて現代的に小さなサイズで作られています。オリジナルにはないローカットスイッチを装備し、より使いやすい仕様を目指しているところも独自のポイント。オリジナルに存在する絶妙なファズの高域部分をリアルに再現し、愛用者の多いモデルです。

Wren and Cuff「Tri-Pie’70


70年代より様々なモデルチェンジを行い、音色を少しずつ変えながら、会社が倒産しても国が変わっても開発を止めることなく、今に至るまで系譜をつなぐ…エフェクターのみならずアンプの世界でもこのような製品は稀であり、ビッグマフがいかに愛されてきたかの証拠でもあります。まして、クオリティが落ちた時期というものがなく、どの時期のものも評価が高いというのは希有なことであり、エレクトロ・ハーモニクスの矜持をここに見る思いです。

現在ではビッグマフ系というひとつのカテゴリが成立するほどの存在となっています。驚くべきポテンシャルを最初に見抜いたジミ・ヘンドリクスの音楽のように、これからもあらゆるギタリストに愛され続けるに違いありません。

(参考)
THE BIG MUFF π – A HISTORY OF ALL VERSIONS
Wikipedia “Big Muff”