チューブスクリーマーってどんなもの?TS系オーバードライブ特集2018年3月20日

TS系オーバードライブ特集

オーバードライブ系のエフェクターは非常に種類が多いことから、さまざまなタイプに分類することができます。その中でも、特に高い人気を集めているものの一つが「TS系」と呼ばれているものです。

同じオーバードライブ系のエフェクターであっても、用途は人によって異なっています。ローランドのJCやフェンダーのツインリバーブをはじめとするアンプ単体ではほとんど歪まないアンプとセットで使用する場合は、ドライブサウンドをペダルのみで作ることになります。それに対して、アンプで歪みを作るという方の場合は、音量を持ち上げたり、そのゲインをプラスしたり、その他の要素を追加するためにオーバードライブペダルを使用する、というケースも多いのではないでしょうか?

ここでお話するTS系のオーバードライブペダルは、後者の形で使用されることが多くなります。それはどうしてなのでしょう?TS系オーバードライブとは何なのか?どのように使用すれば良いのか?そして、その魅力について考えてみましょう。

1: そもそもTS系ペダルってどんなもの?
	1.1: チューブスクリーマーはどんなサウンドなの?
	1.2: ブースターとしてのチューブスクリーマーの持つ魅力
2: チューブスクリーマーの種類
3: さまざまなTS系エフェクター
	3.1: Fulltone FullDrive 2
	3.2: ARION MTE-1 TUBULATOR
	3.3: Lovepedal Eternity
	3.4: Mad Professor Little Green Wonder
	3.5: CMATMODS Signa Drive
	3.6: Tone Freak Abunai 2
	3.7: JHS Pedals Moonshine Overdrive
	3.8: Leqtique Maestoso
	3.9: One Control Persian Green Screamer
	3.10: Earthquaker Devices Palisades / Dunes
	3.11: JHS Pedals The Bonsai
	3.12: FLYING TEAPOT 088OverDrive

そもそもTS系ペダルってどんなもの?

よく、ギター雑誌や楽器店のエフェクター説明でも目にする「TS系」という分類。これはどういったものなのでしょう?

簡単に言ってしまえば、「アイバニーズのチューブスクリーマー」というオーバードライブをモデルにした、または似た傾向のオーバードライブペダル全般を指します。つまり、TS系とは何なのかを考える際には、まず、チューブスクリーマーがどんなキャラクターを持つペダルなのかを知らなければなりません。そこで、まずはチューブスクリーマーの特徴を簡単にまとめてみました。

チューブスクリーマーはどんなサウンドなの?


Ibanez TS Mini vs original 1981 TS808【Supernice!エフェクター】
最初期のチューブスクリーマーTS808 1981年モデルとTSMINIの比較演奏

では、まずはチューブスクリーマーのサウンドのキャラクターからお話してみましょう。単体で歪みペダルとして使用した場合、チューブスクリーマーは以下のような特徴を持っています。

  • あまりエッジの効いた歪み方ではないため、聴覚上では十分な歪みを得ることができないように感じてしまう(あまり歪まない)
  • セッティングにもよるが、かなりミドル寄りのサウンドになりやすい(抜けが悪い)

少しネガティブな言い方になってしまいましたが、純粋に歪みエフェクターとして使用する方が少数派になってしまう理由はこういったサウンドキャラクターにあります。もちろん、この音も使えないわけではありません。しかし、幅広い場面でベストと言えるサウンドであるとも言えないでしょう。

では、どうしてチューブスクリーマーをはじめとするTS系エフェクターが高い評価を受け続けているのでしょう?その最大の理由はブースターとしての優秀さにあります。

ブースターとしてのチューブスクリーマーの持つ魅力

どうしてチューブスクリーマーがブースターとして多くのギタリストに愛用されているのでしょうか?その理由としては以下のような点を挙げることができます。

  • 音をミドルに寄せることによって、フェンダー系アンプの角をとったり、大型スタックアンプにありがちなブーミーになってしまうことを防ぎ、耳に痛くない抜けるサウンドを作ることができる。
  • 粒が細かく、比較的素直な歪み方であることから、アンプの持つサウンドキャラクターを変えることなくゲインを稼ぐことができる。

このように、チューブスクリーマーはチューブアンプのブースターとして使用することによって、その魅力を発揮することのできるペダルなのです。

チューブスクリーマーの種類

一口にチューブスクリーマーと言っても、今日ではさまざまなバリエーションのものが登場しています。

アイバニーズ TS808

TS808

1979年にリリースされたチューブスクリーマーの初号機であり、全ての原点となるのが「TS808」です。現在でもリイシュー(復刻)モデルが登場していますので、簡単に入手することが可能です。チューブスクリーマーとは何なのかを知りたいのであれば、まずこのモデルを試してみるべきでしょう。

Ibanez TS808 TUBE SCREAMER


アイバニーズ TS9

TS9

今日のチューブスクリーマーの基本モデルとなるのが、1982年にリリースされた「TS9」です。チューブスクリーマーと言えばこのモデルをイメージする方も多いのではないでしょうか?オペアンプなど回路構成に若干の違いはありますが、基本的には元祖TS808のサウンドキャラクターを継承しています。こちらも復刻モデルが登場しているので、現在でも手に入れやすくなっています。

Ibanez Tube Screamer TS-9


アイバニーズ TS9DX

TS9DX

1998年に登場、前述のTS9に近代的な要素を加えたものが「TS9DX」です。歪みの質を変化させることのできる”プラスモード”、ローミッドをブーストする”ターボ”モード、そしてチューブスクリーマーの命とも言えるミドルをさらに強調する”ホット”モード、という3つのモード切替スイッチを追加し、単にブースターとしてのみでなく、歪みペダルの一つとしてサウンドメイクの幅を広げることが可能となりました。

Ibanez TS9DX Turbo Tube Screamer


ミニサイズのチューブスクリーマー「TS MINI」

TSMINI

2015年に登場した「TUBE SCREAMER MINI」は、ミニサイズの小型個体を採用したチューブスクリーマーです。基本的なサウンドキャラクターはTS9のものを継承しています。よりコンパクトになることによって、エフェクトボードにもさらに組み込みやすくなりました。コストパフォーマンスの高いモデルでもありますので、はじめてのTS系エフェクターにもおすすめです。

Ibanez TSMINI


本物の真空管を搭載「NU TUBESCREAMER」

NU TUBESCREAMER

2018年3月に登場した「NU TUBESCREAMER」は、KORGとノリタケ伊勢電子の共同開発によって生まれた新世代の真空管「Nutube」を搭載した最新のチューブスクリーマー。Nutubeは従来の真空管に比べ、大幅な省電力化/小型化/品質向上を実現し、リアルな真空管サウンドを実現したというもので、よりニュアンス豊富なサウンドを実現したモデルとなっています。

Nutubeの他にも新たに原音とエフェクト音のバランスを調節できるMIXツマミを搭載、18Vアダプターに対応するなど、さらに進化を遂げたチューブスクリーマーとなっています。

Ibanez NU TUBESCREAMER


その他のチューブスクリーマー

上述で紹介したものの他、Ibanezからはツインペダル式のモデルTS808DX、30周年記念モデルTS930THなど「チューブスクリーマー」と正式に名称のついたモデルが存在します。
Ibanez TS808DX Tube Screamer
Ibanez TS808 Hand Wired TUBESCREAMER
Ibanez TS930TH TUBE SCREAMER 30th Limited
Ibanez Bass Tubescreamer

マクソンのODシリーズとチューブスクリーマー

MAXON OD808 MAXON OD9 MAXON OD808、MAXON OD9、MAXON OD820

アイバニーズのモデルと同時にお話しなければならないのがマクソンのODシリーズでしょう。実は初期のモデルに関して名前が違うだけで、マクソンとアイバニーズはまったく同じものです。その理由は、単にアイバニーズはもともとマクソンの海外輸出用のブランドであったためです。つまり、アイバニーズのTSシリーズとマクソンのODシリーズはほぼ同じものとして考えても問題ありません。

MAXONのオーバードライブ一覧

さまざまなTS系エフェクター

それでは、アイバニーズ以外のメーカーから発売されている、いわゆる「TS系」エフェクターについてご紹介してみたいと思います。各メーカーならではの個性がプラスされた魅力的なペダルも多いことから、あなたにとってベストな一台を探してみましょう。

Fulltone FullDrive 2


Fulltone FULL-DRIVE 2【Supernice!エフェクター】

元祖TS系ハイエンドペダルとして長きに渡って高い人気を誇るツインペダル式オーバードライブ「FullDrive 2」、Fulltoneの代表的なエフェクターです。2つのフットスイッチを搭載しオーバードライブとゲインブースターを独立して使いわけることができることができ、バッキングからリードトーンまでこれ1台で完結させることができます。

Fulltone FullDrive 2

ARION MTE-1 TUBULATOR

低価格でありながらハイクオリティなエフェクターを販売しているARION。同メーカーのTS系ペダルの一つがこのTUBULATORです。低価格でありながら、TS系の特徴を継承していますので、はじめてブースターを導入するという方にも安心してオススメすることのできる一台です。プラスチック個体であることから、見た目はとてもチープに見えてしまいますが、そのサウンドは本物です。

ARION MTE-1 TUBULATOR

Lovepedal Eternity

ハイクオリティなペダルを数多く生み出しているアメリカのブティック系ブランドのLovepedal。Eternityは、現在TS系エフェクターの最高峰と呼ばれているモデルの一つです。TS系ならではのキャラクターを活かしつつ、非常にクリアなサウンドを維持しながらゲインを稼ぐことのできるペダルに仕上がっています。TS系ペダルを使用していて、サウンドの明瞭さや、抜けに不満を抱いているという方にはぴったりなモデルでしょう。今やTS系の枠を超えて、非常にハイクオリティなオーバードライブペダルの代表として多くのギタリストに愛用されています。

Lovepedal Eternity

Mad Professor Little Green Wonder

チューブスクリーマーをより近代的に、使いやすく改良したモデルとも言えるのがMad ProfessorのLittle Green Wonderです。前述のLovepedalと同様に、ハイクオリティなブティック系エフェクターを数多く製造している同社だけあって、その仕上がりは見事なものです。基本はTS系のブースターとして使用することを前提に設計されていますが、フィルター機能など多彩な機能を追加することによって、十分に単体でも音作りをすることのできるオーバードライブペダルです。

Mad Professor Little Green Wonder

CMATMODS Signa Drive

コストパフォーマンスに優れたモダン系TS系ペダルの代表機種がCMATMODS Signa Driveです。実売価格1万円前後というロープライスでありながら、サウンドのキャラクターを3段階に切り替えることが可能となっています。サウンドにはやや癖があり、一般的なTS系ペダルよりもハイ寄りの傾向があると言われています。しかし、TS系ならではの魅力を十分に味わうことのできる素晴らしいペダルです。

CMATMODS Signa Drive

Tone Freak Abunai 2

ブースターとして使用されることの多いTS系ペダルですが、一般的なオーバードライブと同じように基本的なサウンドメイクにも使いたい、という方におすすめしたいのがTone Freak Abunai 2です。このペダルも今やモダン系TSペダルでは装備されるのが当たり前となっている複数のモードを備えています。これによって、さまざまなタイプのアンプに対応するブーストが可能となるだけでなく、純粋に単体での音作りの幅を広げることまでできます。

Tone Freak Abunai 2

JHS Pedals Moonshine Overdrive

TS系ペダルの中でもJHS Pedals Moonshine Overdriveはとても個性的な一台となっています。サウンドの傾向的にミドル寄りになっているという点、そしてきめ細かい歪みを得ることができるという点で言えば、確かにTS系に属します。しかし、サウンドキャラクターを大きく変えてしまうという点においては一般的なTS系エフェクターの枠から外れてしまうことになるかもしれません。TS系にカテゴライズすることはできますが、唯一無二の個性を持ったペダルの一つであると言えるでしょう。

JHS Pedals Moonshine Overdrive

Leqtique Maestoso

TS系エフェクターの中でもトップレベルのサウンドメイクの幅広さを誇っているのがLeqtique Maestosoです。最近ではさまざまなTS系ペダルが登場しています。その多くは基本の形であるチューブスクリーマーに何らかの機能や個性を追加する、というスタイルのものです。しかし、同モデルの場合はより幅広いサウンドメイクが可能である、という点が大きなポイントとなります。チューブスクリーマーはオールドマーシャルとの相性の良さからブースターとして高い評価を受けるようになりました。しかし、今日ではさまざまなアンプに組み合わせて使用されるようになっていますので、よりセッティングの幅を広げることのできるMaestosoは、より多くの場面で使用することのできる一台であると言えるでしょう。

Leqtique Maestoso

One Control Persian Green Screamer

ヴィンテージTSペダルは確かに魅力的なものです。しかし、今日の音楽シーンではさまざまなサウンドが要求されますので、モダン系のTSペダルもとても魅力的なものです。
その両方を同時に実現することのできるペダルがPersian Green Screamerになります。高いレベルでヴィンテージチューブスクリーマーを再現しながらも、モードを切り替えることによってモダン系TSペダルとしても使用することができる…多くのギタリストにとっての理想の一台であると言ってしまっても過言ではありません。

One Control Persian Green Screamer

Earthquaker Devices Palisades / Dunes

Palisades、Dunes

アメリカ合衆国のハイエンド・エフェクターブランドである Earthquaker Devices のTS系ペダル「Palisades」は、TS808をベースにしながらも、3チャンネルの歪みチャンネルを搭載、その他6モードのVoiceスイッチ、5モードのBandwidthスイッチ、Normal/Brightスイッチなど、多彩なコントロールの操作で最大480通りの歪みを使い分けることができるという、現存するTS系ペダルの中でも最も多彩なサウンドメイキングが可能なエフェクターです。
「Dunes」は「Palisades」の機能縮小版で、コンパクトながら「Palisades」譲りの多彩なサウンドメイキングが可能なモデルとなっています。

Earthquaker Devices Palisades
Earthquaker Devices Dunes

JHS Pedals The Bonsai

JHS Pedals The Bonsai

「The Bonsai」は、歴代チューブスクリーマーに加えて他社製TSモディファイモデルを含む、全9種類のTS系サウンドがコンパクトな1台に収まった”チューブスクリーマー全部のせ”エフェクターです。本家チューブスクリーマーの中からは

  • TS-808
  • TS-9
  • TS-10
  • TS-7(+mode)

を収録。
他社製では「BOSS OD-1」「Exar OD-1」「Keeley TS9 Baked Mod.」、そしてJHS Pedalsのオリジナルサウンドも収録されるなど、定番からマニアックなTS系サウンドが一通り揃っています。歴代TSのサウンドを使い分けたい、TS系ペダルにこだわりを持っている人なら本機一択で間違いないでしょう。

JHS Pedals The Bonsai

FLYING TEAPOT 088OverDrive

FLYING TEAPOT 088OverDrive

国産ブランドFLYING TEAPOTのTS系ペダル「088OverDrive」は、3ツマミに3モード・スイッチを搭載し、ヴィンテージTSからブティック系TS派生モデルのサウンドを1台でカバーすることができるTS系ペダル。モードはV(vintage)/B(bright)/F(fat)の3つで、初期TSのヴィンテージサウンド/高域を解放し音抜けの良いドライブサウンド/低域を削らずブーストさせたTS系、という3種類を切り替えることができます。

FLYING TEAPOT 088OverDrive


スティーヴィー・レイ・ヴォ—ンをはじめとして、多くのトップギタリストに愛用されているTS系ペダル。それだけ魅力的なサウンドを生み出すことのできるペダルであることは言うまでもないでしょう。もし、あなたがブースターを必要としているのであれば、一度はTS系ペダルを試してみてください。

最終更新日 : 2018/11/04