《多機能ディレイ特集》ギターだけでなく様々な楽器に使用できる2026年1月12日

多機能ディレイ TC Electronic Flashback Triple Delay

かつてはディレイと言えば一機種ごとにそれぞれサウンドの個性があるモデルが普通でした。
しかし、2010年あたりを境に、多くのディレイモデル内蔵、プリセット保存やMIDI対応、エクスプレッションペダルでのパラメータ可変など、様々な機能を持った製品が次々に登場。
現在はディレイエフェクターの中でも主流の一つという地位を築くに至っています。
このような多機能ディレイに迫ってみましょう。

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多機能ディレイの活用方法

多機能ディレイの最大の特徴は音色調整の範囲が非常に広いことで、特に複数のディレイモデルを内包する機種では、作れる音色の種類、調整の幅は圧倒的です。
それに伴いセッティングの保存が可能なものがほとんどを占めるので、このような特徴をいかして、曲ごとのプリセット切替はもちろん、一曲中でもソロ時とバッキング時において別のディレイを掛けるなど、多様な運用ができるところは多機能ディレイの真骨頂と言って良いでしょう。
また、そのようなディレイはルーパーを内包することも多く、パフォーマンスの内容によっては積極的に使っていくこともできます。

また、外部エクスプレッションペダルを利用してパラメータをリアルタイムに可変できるものでは、幻想的なアンビエントサウンドの構築やアナログディレイ特有の発振も外部ペダルからコントロール可能。
MIDIに対応した機種では、スイッチを外部に接続し、足下で多様なコントロールを行うこともできます。
ほぼ全てが高価格帯の製品に当たり、スタジオ機器のクオリティをフロアタイプに落とし込んだハイクオリティなものが多いため、ほとんどの機種でギターのみならずラインレベルの入力に対応しています。
キーボードでの使用や、レコーディング環境やPAのアウトボードとしての使用なども想定できるでしょう。

多機能ディレイを選ぶポイント

デジタル系?アナログ系?機種毎の特徴を確認

アナログ系、デジタル系、テープエコー系のいずれかに寄ったものやアンビエント系サウンドに強いものなど、機種によって作れる音色の方向性がある程度決まってくるのは、通常のディレイエフェクターでも多機能ディレイでも同じ。
ただし、多機能ディレイにはディレイモデルを複数搭載するモデルがあり、そのような機種ではある程度その垣根を取り払えます。
このような機種はどのモデルを選んでも一定以上の品質を担保しているため、様々なサウンドを指向する場合には特に心強い存在となります。
その分、単機能のディレイに比べ大型になりやすいのは覚悟しておきましょう。

サウンド以外の特徴も確認しておく

接続端子の確認

多機能ディレイの接続端子 Flashback Triple Delay:リアパネル

多機能ディレイはそのスタジオクオリティの品質や調整範囲の広さがゆえに、多くの機種においてギター以外で使われることが想定されています。
たとえばキーボードやDAWのアウトボード代わりに使用するなどの運用方法が考えられ、このような使い方を視野に入れている場合、ステレオの入出力やラインレベルに対応した入力の有無が大きな要素となってきます。

ルーパーは?

多くのディレイモデルを切り替えられるようなモデルでは、ルーパーが付随するものが少なくありません。
ルーパーをパフォーマンスのメインに据える場合はさすがに専門機を導入すべきと考えられるものの、部分的な使用に留まるのであればディレイ付属のルーパーは役立つ存在となり得ます。
ライブパフォーマンスの他、練習や作曲などでも使用できるので、積極的に使っていきたい場合はルーパーの有無について調べておくと良いでしょう。

リバーブは?

機種によってはリバーブを追加で掛けることができるものもあります。
このようなモデルだと一台で二役がこなせるため、足下の機材を減らせるというところからも有用です。

MIDI制御可能か?

プリセットやタップテンポ、その他様々なパラメータを外部MIDIスイッチでコントロールできる機種は少なくありません。
ライブパフォーマンスにはより有効ですし、PCとの連携を視野に入れることもできます。
MIDIクロック同期機能を持つモデルではDAW側とのテンポ情報を共有できるため、アウトボードとして使用する際には操作が格段にスムーズになります。

電源は?

運用面において無視できない電源の形態。
多機能ディレイは消費電力が大きく、専用のアダプターを持っていることもあります。
通常の9VDCアダプターで賄う場合、消費電力量が多いため、大きな電力を確保出来るアダプターやパワーサプライを使用しましょう。
ちなみに、専用のアダプター使用の場合、大きく重たいものだとコンパクトエフェクターひとつ分に匹敵するほどの存在感があるので、機材を軽くしたい場合はよく確認しておきましょう。

バイパス方式は?

基本的にバッファード・バイパスが多いですが、機種によってはトゥルー・バイパスとの切替が可能なものも。
トゥルー・バイパスは音質の変化が最小限に抑えられますが、オフにした際にディレイ音だけを残すことができないため、オンオフの際にブチッと切れたような音になるところがデメリットです。

代表的な多機能ディレイ

Line6 DL4 MkII

Line6 DL4 MkII

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
30(+リバーブ有) ステレオ入出力
MIDI in/out、EXP
XLRマイク
Micro SDスロット
6
MIDI使用で128
240秒(micro SD使用で数時間) 9VDC/3000mA(付属DC-1g)

1999年に発売され、20年近くも多機能ディレイの代表格として君臨したLine6 DL4の後継機。
初号機が大変なロングセラーであったため、満を持して発売された当機種は、筐体、アダプターの小型化、選べるバイパスタイプなど、新型として実用面においても大幅に強化されました。
ギターにもっとも好ましいアナログライクなものを基本としたサウンドは旧型同様、大変に使いやすいもので、ディレイモデルは驚異の30種を搭載します。
この中にはGlitchやHarmonyディレイなど、個性的なものも含まれていますが、単なる飛び道具とならない気品のある音色でまとめられているところはさすがといったところ。
ルーパーは最長240秒。
MIDI端子はもちろん、Mic in端子なども装備し、拡張性という点でも競合製品に比べ群を抜いています。

Line 6 DL4 MkII

Eventide TimeFactor

Eventide TimeFactor

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
9 ステレオ入出力、
MIDI

(クロック同期あり)
100 12秒 9VDC/500mA(付属)

Line6 DL4には及ばないものの、こちらも2007年に発売されいまだ現役を続ける多機能ディレイの老舗。
錚々たるミュージシャンの使用で知られ、スタジオクオリティのディレイマシンとしてもっとも信頼感のあるモデルです。
デジタル、アナログ、テープエコー、リバースなど9種類のディレイと最大12秒のルーパーが搭載され、ディレイについてはそのうちの二つを個別に掛けることができるというユニークな仕様です。
この機能こそがこのモデルの最大の特徴であり、単一のディレイとしてはもちろん、別々のディレイを掛け合わせた個性的なサウンドを構築することもできます。
サウンドはアナログ的な太さを打ち出した傾向にあり、どのようなジャンルにも適したディレイが得られるでしょう。

Eventide TIMEFACTOR

FREE THE TONE FT-2Y FLIGHT TIME

FREE THE TONE FT-2Y FLIGHT TIME

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
1(デジタル) ステレオ入出力、
EXP、HOLD
99(うちファクトリープリセット9) 20秒 9VDC/400mA(別売)

国内で大変な人気を誇るFREE THE TONE社。
当機種は2016年に製造終了となったFT-1Yに続く後継機として登場しました。
タップテンポ入力後に自動でテンポを補正するBPMアナライザー、ディレイタイムを自動で少しずらしてノリを表現していくディレイタイム・オフセットの二つの機能はFT-1Yに搭載されたものを引き継ぎながら、さらなる音質の向上が図られ、インスト/ラインレベルの切替、プリセットの切替機能などが新搭載されました。
また前機種にはなかったHOLD入力に外部スイッチを接続することで、ディレイ音の永続的な再生やルーパーとしても使用可能。
フィルターやモジュレーションなどでデザインできるディレイサウンドはまさに最高峰とも言うべきもので、単一のディレイとして他を圧倒するクオリティを誇ります。
反面、多彩な音が出るわけではなく、外観も数字とボタンが並ぶだけという、まさに堅実、硬派を地で行くモデルです。

FREE THE TONE FT-2Y FLIGHT TIME

STRYMON

空間系エフェクトの雄strymonはディレイのラインナップが非常に豊富。
いずれのモデルも最高峰のクオリティを誇り、それぞれに個性を持ったサウンドは素晴らしいものばかりで、選択の際には大いに迷いたくなるラインナップです。
strymonエフェクターに共通してみられる特徴として、ラインレベルの入力に対応、プリセットの複数保存、MIDIや外部エクスプレッションペダルの入力に対応、トゥルー・バイパスとバッファード・バイパスの切替が可能などがあります。
下記に挙げる4機種中、TIMELINE、VOLANTEは大型モデル、DIG、El Capistanは小型モデルとなり、拡張性やフットスイッチの数に若干の差異があります。

BOSS DD-500

BOSS DD-500

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
12 ステレオ入出力、
MIDI、EXP

(クロック同期あり)
297 120秒(ディレイと併用可) 9VDC

BOSSが誇る多機能ディレイの決定版。
王道のものからShimmer、SFXなどの実験的なものを含む12種のディレイモデルを内蔵しています。
MIDI機能が充実しており、プリセット選択やパラメータ変更など全てに対応。
バッファード、トゥルー・バイパスの選択もでき、高機能ディレイに求められる機能が全て詰まった一品です。
当機種ならではの機能として、フットスイッチの役割を変えられるというものがあり、TAPを始めとし、フィードバックを鳴らし続けるHOLD、複数のパラメータを一挙に変化させていくTWIST、ディレイタイムを半分にするROLL1/2など、多くの役割から選んで割り当てることが可能。
マルチエフェクター譲りとも言えるこの群を抜いた操作の柔軟性は、ディレイ一台で色々なことがしたいプレイヤーには貴重な存在でしょう。

BOSS DD-500

BOSS SDE-3000D

BOSS SDE-3000D

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
SDE-3000ステレオ×2
(独立/直列/並列)
ステレオ入出力、
MIDI、EXP/CTL、
USB Type-C

(クロック同期あり)
100 × × 9VDC/2000mA(付属PSB-1U)

1983年に登場し、80年代のサウンドを象徴したラックマウント・デジタルディレイの名機SDE-3000を、現代のペダル型として蘇らせたデュアル・デジタルディレイ。
2基のステレオディレイを内蔵し、独立/直列/並列と自在にルーティングできるのが最大の特徴です。
原機特有のゲインに応じた周波数特性やアンチエイリアスフィルターの質感までを作り込みつつ、サイン/三角波のモジュレーション、フィードバックループへの位相反転、Low-Cut/High-Cutフィルターといった現代的な機能を追加。
100のメモリーを備え、2系統のディレイを足下で切り替えながら立体的な空間を構築できます。
クリーンで芯のあるデジタルディレイらしいサウンドは、80年代的なきらびやかなアンビエンスから現代的なステレオディレイまで幅広く対応します。

BOSS SDE-3000D

Ibanez LD303

Ibanez LD303 Layer Delayer

ディレイモデル 接続端子 MIDI プリセット保存 リバースディレイ ルーパー 電源
3タイプ
(デジタル/アナログ/テープを
無段階モーフィング)
ステレオ入出力、
FXループ、
MIDI in/through

(クロック同期あり)
50(うちファクトリー20) × × 9VDC/300mA(別売)

Ibanezが2026年に発表した、同社のディレイ史上もっとも野心的なフラッグシップ機。
「Layer Delayer」の名が示す通り、メインのディレイに16分音符や3連符のサブディレイを重ね、それぞれの音量を独立してコントロールできるマルチヘッド方式を採用しています。
デジタル/アナログ/テープエコーのキャラクターを無段階でモーフィングでき、Moogライクなラダー型ローパスフィルターや8種類のオートパン、可変式のテイル・ディケイを搭載。
シューゲイズやアンビエントで求められる複雑なリズムとテクスチャを、一台で緻密に作り込めます。
MIDIクロック同期に対応し、専用アプリからのパラメーター制御・プリセット管理も可能です。

Ibanez LD303


多くの機種が登場している多機能ディレイ。
いずれも高級機ばかりで品質は甲乙付けがたく、多くのギタリストは使える機能、大きさ、運用面から選ぶことになるでしょう。
特にディレイモデル、ルーパーの有無などは後からごまかせない部分です。
選ぶ際には自分の音楽に何が必要か、改めてよく吟味してみましょう。