《人気機種のグレードアップ版》BOSS WAZAシリーズのペダル特集2020年7月27日

《人気機種のグレードアップ版》BOSS WAZAシリーズのペダル特集

BOSSのコンパクトエフェクターにおいて、”BOSS”と表記されたロゴ部分に「技」と書いてあるものを見かけることがあるでしょう。これは通常ラインの上位に位置する「技 WAZA CRAFT」というシリーズの製品で、いずれも優れた音質、幅広い音色が得られるようにBOSSの技術を惜しみなくつぎ込んで作られています。今回、このWAZAシリーズについて迫ってみましょう。

WAZAシリーズとは何か?

2014年に登場した「技 WAZA CRAFT」シリーズ。無数に存在するBOSSのエフェクターでも特に人気の高い数機種がシリーズに並べられており、いずれも通常のものより優れた音質や使い勝手の幅広さなどを会得しており、純粋なグレードアップ版となっています。

2000年代より数多く見られるようになった、大手メーカーのエフェクターの内部回路に手を加えるモディファイ製品。BOSS製品は元々の作り込みが優秀で、本体が頑丈、そして多数のギタリストに愛される使い勝手の良さ、汎用性の広さなどから、このモディファイの格好のターゲットとなり、BOSSエフェクターをベースとする様々な製品が世に出回りました。WAZA CRAFTはそんな風潮にBOSS自らが一石を投じるシリーズであり、”公式モディファイ”とも呼べる製品群となっています。

そして、2016年にはエフェクターのみならず、アンプ本体の製品としてWAZA AMPが発売されました。「WAZA -技-」は公式モディファイを施したエフェクター群だけでなく、現在では”BOSSの最高峰”を意味するシリーズ名と捉えることができるでしょう。

WAZAシリーズのペダル全機種に見られる特徴

WAZAシリーズのペダルは、元となった機種と同じような音色が得られるスタンダードモードに加えて、若干違う傾向を持つカスタムモード(DC-2W、CE-2Wは別モード名)を増設。2モード仕様とすることにより、より守備範囲の幅広さを獲得しており、多様化が進む現代のニーズに答えるものとなっています。どのモデルにおいても内部の部品などをブラッシュアップすることで音色面での洗練を図り、歪み系はオペアンプを使わず、ディスクリート回路で設計し直すことで、よりローノイズ化を進めています。

WAZAシリーズのペダル・ラインナップ

BD-2W

BOSS BD-2W

BOSS史上でも最も評価の高い歪みエフェクターのひとつであるBD-2 Blues Driver。そのBD-2のWAZA CRAFTバージョンがこのBD-2Wです。スタンダードモードでは元機種同様の、ジャキッとした高域に特徴のあるオーバードライブが得られますが、若干音が太くなっている印象を覚えます。カスタムモードはよりハードになり、かつ中域のピークを強くすることで、BD-2特有の刺すような高域がやや抑えられています。ゲイン幅も広く、リードギターなどにより合った音が得られるようになりました。

BOSS BD-2W
万能型オーバードライブ:BOSS BD-2の魅力とは

SD-1W

BOSS SD-1W

BOSSの歴史の中でも伝説に近い存在の初代OD-1 OverDriveから、回路をそのまま受け継いだSD-1 Super OverDrive。やや丸みを帯びたサウンドが、特にブースターとして人気のあるモデルです。SD-1Wはそのオリジナル版のサウンドをできる限り踏襲しつつも、音の粒をより際立たせ、さらに現代のニーズに答えるように、レンジを若干広げたようなサウンドにチューンされています。カスタムモードはBD-2Wと同じく中域がややせり出すような質感になっており、わずかな差でありながら存在感がぐっと前に出る感覚があります。

BOSS SD-1W
様々なジャンルに適合する王道の音色「BOSS SD-1」 – エレキギター博士

DM-2W

BOSS DM-2W

BOSSのコンパクトディレイ第一号となったDM-2は、BBD素子を使用したアナログ・ディレイでした。DM-2Wは1984年に販売終了となったそのDM-2を、WAZA CRAFTとして現代に蘇らせたものです。アナログならではの音の劣化が楽しめるスタンダードモードは、旧き良きアナログディレイを彷彿させるものとなっており、新たに増設されたカスタムモードでは、より音の粒がしっかりしつつ劣化が緩やかな、デジタル寄りの現代風スタイルを楽しめます。カスタムモードはスタンダードの2倍のディレイタイムをカバーしており、単なる復刻にとどまらない使い勝手の良さを備えました。RATEという入力端子にペダルを接続することで、フィードバック量を足でコントロールすることが可能です。

BOSS DM-2W

DC-2W

BOSS DC-2W

原音を揺らさずに音に広がりを与えるという効果で、独特のコーラスとして知られるDC-2 Dimension C。マニアックな人気を誇る同エフェクターはすでに生産完了となり久しいですが、WAZA CRAFTシリーズで久々の復活となりました。オリジナルを復刻したスタンダードモードでは、ボタンひとつで非常に美しいコーラスを掛けられます。4つのモードは1から4に行くに連れ、かかりが順に深くなっていきますが、いずれも使いやすい音になっているのはさすがの一言。オリジナル版ではできなかった2ボタン同時押しも可能となり、全6モードが備えられました。カスタムモードの代わりに搭載されたのは、ラックエフェクターSDD-320 Dimension Dの音を模倣したモード。スタンダードに比べるとより明るさが増したような印象があります。通常のコーラスとはまた違う独特の美しさはクリーントーンに掛けると、まさに圧巻です。

BOSS DC-2W

MT-2W

BOSS MT-2W

1991年の発売以来、メタル系ハイゲインエフェクターの定番として確固たる地位を築くMT-2 Metal Zone。このMT-2Wは、歪みの質感はオリジナルそのままに、奥行きがありローノイズ化を進めたスタンダードモード、そしてかなり傾向の違うカスタムモードを加えて登場したWAZA CRAFTバージョンです。良くも悪しくもエフェクター然としたサウンドが特徴であったMT-2ですが、このMT-2Wのカスタムモードはまるでアンプを鳴らしているかのような、箱鳴り感のある低音を持ち、ギターのボリュームにも非常に丁寧に反応し、ピッキングに対する追従性も優秀です。昨今人気の高いブティック系エフェクターの要素をMT-2に詰め込んだこのカスタムモードは、WAZAシリーズの中でもトップクラスに野心的であり、次世代のMT-2として恥じない、高い完成度を誇ります。

BOSS MT-2W

TU-3W

BOSS TU-3W

足下に置かれるライブ用チューナーとして定番のTU-3 Chromatic Tuner。なんの効果ももたらさない、地味とも言えるこの機種のWAZA CRAFT版は、本体が黒くなり視認性が上がったほか、高輝度モードによって、明るいところで見やすくなるなどの工夫が凝らされています。しかし、何といっても内部回路の徹底的な見直しと優秀なバッファーを搭載することで、エフェクターボードの最前段に置くための”エフェクター”としてのクオリティが向上したところが特筆。トゥルー・バイパスも選べるものの、新しく搭載されたこの内蔵バッファーのクオリティが非常に高く、バッファードで使ってこそ進化が発揮されるペダルです。

BOSS TU-3W

CE-2W

BOSS CE-2W

1979年に登場したCE-2 Chorus EnsembleのWAZA CRAFT復刻版。BBD素子を採用したアナログ回路を用いて、当時の仕様を完全に再現していながら、現代のニーズに合わせてステレオ出力を装備しています。掛かり方はBOSSコーラスのイメージ通り、まさに爽やかそのもので、ハイ上がりの突き抜けるような揺れが得られます。CE-2WにはオリジナルCE-2のサウンドを再現したスタンダードモードに加え、オリジナルCE-1のコーラス、ビブラートを再現したモードが追加されています。CE-1はRoland JC-120のコーラスを抜き出した世界初のコーラスエフェクターとして伝説の存在となっていますが、このCE-2Wに含まれたCE-1モードもまさにジャズコーラス譲りの揺れを感じさせるものとなっており、さらにオリジナルCE-1には無かったDepthのコントロールが可能です。

BOSS CE-2W

VB-2W

BOSS VB-2W

1982年に発売されたVB-2 Vibratoを現代に蘇らせたモデル。音量を変えずに音程だけを揺らすヴィブラートのエフェクターは、あまり見ることがなく、非常に個性的な製品です。従来のVB-2を再現したスタンダードモードに、新しくカスタムモードが追加され、フィルターを通すことによって、より深くエフェクトを掛けることができます。オリジナルVB-2と同じく、ペダルを踏み込んだときだけオンにするアンラッチモードを搭載し、現代のニーズに合わせて、外部エクスプレッションペダルでDepthをコントロールするために新たな入力端子を確保しました。常に薄くアームを揺らしているような独特の音色はクセになる気持ちよさがあり、エレキギターの使用法が多様化した現在だからこそ、オリジナル発売当初に比べても、より多彩な使い方が模索できるでしょう。

BOSS VB-2W

ペダル以外のWAZAシリーズ製品

WAZA Amp Head

BOSS WAZA Amp Head

BOSS初のギターアンプとして2016年に登場したスタックアンプ。後に登場するKATANA AMPのような数種の音色を含んだモデリング系のアンプではなく、あくまでも単一の音色を突き詰めた、正統派のステージ用アンプとして登場しました。150WのWAZA AMP HEAD、75WのHEAD 75、そして専用キャビネットがラインナップされています。

ブラウンサウンドを再現したハイゲインサウンド

開発元が同じであるRolandのBlues Cube同様、Tone Capsuleという部品をセットすることで音色を変えていくことができ、1970~80年代のハードロックで聞かれるような”ブラウンサウンド”を再現したものが、あらかじめセットされています。ブラウンサウンドはエディ・ヴァン・ヘイレンの音色をモチーフとした、粘り気のあるハイゲインに高いレスポンス、そしてパワーのあるサウンドであり、このアンプの目指す音色を明確に示しています。

現代的な機能を網羅

現代のニーズに合わせて、Clean、Crunch、Lead1、Lead2の4チャンネル仕様、エフェクトループも2系統装備し、自宅練習から使えるように1Wまで出力を落とせるパワーコントロールを装備。RECアウトからは直接ミキサーなどに送ることもでき、ラインレコーディング可能です。1980年代のサウンドを指向しながらも、およそ現代的な機能はほぼ網羅していると言えるでしょう。外装は3Uのラックに設置できるようにもなっています。

BOSS WAZA Amp Head – Supernice!ギターアンプ

BOSS WAZA Tube Amp Expander

BOSS WAZA Tube Amp Expander

アンプヘッドから繋ぐことで、アンプの出力を調整したり、ライン出力するためのロードボックス。アンプをフルアップしつつ音量を制御して自宅練習に使いたい、あるいはキャビネットシミュレーションを掛けることでサイレントレコーディングに使うなど、取り回しにくい大出力の真空管アンプの運用をしやすくするための、必携とも言えるアイテムです。

WAZA Tube Amp Expanderは2019年に発売された、Roland/BOSS製品でも初めてとなる真空管アンプ専用ロードボックス。通常のロードボックスとして申し分のない機能をもちながら、BOSSならではの、マルチエフェクターから譲り受けた機能を多数搭載しています。

ライブでの運用も可能

Blues Cubeにも使用されたTube Logicという、Roland独自の設計が使われ、真空管アンプにおける本来のサウンドをそのまま維持。アンプをフルアップした時の音質をそのままに音量を落とす、というアッテネーター機能では、往々にして望まない音色変化が起こりがちですが、これも最小限に抑えられています。

内部ではデジタル処理がなされており、キャビネットシミュレーションにはIR(インパルスレスポンス)データの参照が行われます。外部のIRデータを読み込むことももちろん可能で、そのためのスロットも32個が確保されています。22のキャビネットシミュレーション、9種類のマイキング設定、5種類のルームマイクを選ぶことができ、エフェクトもリバーブ、ディレイ、EQ、コンプレッサーなどを搭載、外部エフェクトループ端子、アンプのチャンネル切り替え用のコントロールジャックも装備しています。これら諸々のセッティングは10種類を保存して、フットコントローラーやMIDIで切り替えられるので、ライブにおいても多彩な運用が可能です。

150Wまでの真空管アンプに対応し、本体にはディスクリート・アナログ設計の100Wパワーアンプを装備しているので、大出力アンプのパワーを落とすだけでなく、10Wのアンプをライブで使うなどという逆の使い方も面白いでしょう。スピーカーアウトには2系統の出力が用意され、二台までのスピーカー・キャビネットに繋ぐことができます。

BOSS WAZA Tube Amp Expander – Supernice!ギターアンプ


BOSSがひとつの到達点として新たに作り上げたWAZAシリーズ。当初はエフェクターのみのラインナップでしたが、2016年のWAZA AMP、2019年に登場したWAZA Tube Amp Expanderと、現在はアンプ本体と周辺機器にまで及んでいます。40年以上に及ぶBOSSの歴史の積み重ねを感じられるWAZAシリーズは広がりを続けており、これからもプレイヤーを楽しませてくれるでしょう。