
ディレイ・エフェクトはギターの音作りを司る上で欠かせない要素の一つです。
現在ではBOSSのDDシリーズに代表されるようなデジタル・ディレイ、MXRのCarbon Copyのようなアナログ・ディレイの2種が主に使われていますが、それらの遙か前から存在した、いわばディレイ・サウンドの元祖とも言えるものが「テープエコー」です。
ディレイ・サウンドの元祖とも言えるのが、磁気を使った初期のエコー機たちです。
1950年代半ばに登場したEchorecは回転する磁気ドラムに録音と再生を行う「ドラムエコー」、少し遅れて1959年頃に登場し大ヒットしたEchoplexは磁気テープをループ走行させる「テープエコー」で、いずれも60〜70年代に様々なロックミュージシャン、ギタリスト達に使用され、いまや伝説的な存在になっています。
テープを用いた機種では、遅れること約15年、1974年にRolandがSpace Echo RE-201を発表。
現在でも使われるこのモデルは、国産テープエコーとして大人気を博すに至りました。
しかし、様々な面で制約の多いテープエコーは徐々に廃れ、その後、アナログ・ディレイに取って代わられることとなります。
- テープエコーの原理
- アナログ・モデリング・ディレイの代表的なモデル
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テープエコーの原理
Roland RE-201
テープエコーは非常に原始的な機構を持つエフェクトで、カセットテープの内部にも使われている磁気テープ、あるいは金属テープをループ走行させて、随時録音と再生を行い、遅れた音を得るという仕組みです。
その構造は以下のようになっています。
テープエコーの仕組み
テープに合わせてヘッドが複数ついており、それぞれ消去(白)、録音(赤)、再生(青)となっています。
ループ状のテープは走行しながら、順番に消去→録音→再生を行います。
録音された音が再生ヘッドに至るまでに時間がかかるので、音が遅れて再生されるという仕組みです。
再生ヘッドだけ複数あり、これらのヘッドを連続して通すことで、2重、3重のエコーが得られます。
一番最後のヘッドだけを使うとロング・ディレイ、最初のヘッドだけを使うとショート・ディレイとなります。
テープのスピードを落とすと、ディレイタイムは長くなり、その逆も可能ですが、再生環境が変わってくるため、得られる音質にも変化があります。
《名機紹介》テープエコーの世界的な定番機種「Roland RE-201 Space Echo」 – エレキギター博士
Roland RE-201の5連ヘッド
テープエコーの欠点と特性
テープエコーの欠点として、テープ自体の劣化、テープ走行時のノイズの混入、走行速度の維持など、一定のパフォーマンスを得ること自体が難しいというところがあります。
テープを張って録音再生を繰り返すのだから、これはある意味で当然と言えるでしょう。
しかし、ともすれば欠点と思われがちな劣化した音やノイズが、音楽的に暖かいとしばしば語られます。
それこそが、テープエコーが支持を受け続ける最大の理由となっています。
また、ギターエフェクターとしてではなく、本来がレコーディング機器として作られた機器では、信号劣化を抑制するためにエコー部分とは別に、高品位なプリアンプを内蔵しているものもあります。
Echoplexのプリアンプ部分に至っては、現在それに特化したモデリングエフェクターが多数存在するほどです。
しかし、現物のテープエコーは高価で巨大な上にデリケートで調整が不可欠と、ギターのエフェクトとして単独で使用するには非常にハードルが高い機器です。
アナログ・モデリング・ディレイの代表的なモデル
近年、デジタル・ディレイの残響音を劣化させてノイズをまぶしてテープエコー風のサウンドを狙ったモデルや、最初からテープエコーのサウンドを目標に制作されたアナログディレイ、果ては過去に使われたテープエコーマシンをシミュレートしたモデリングエフェクターなど、様々な製品が世の中に溢れています。
現在、テープエコーのサウンドを得たい場合、それらを使うのが一般的でしょう。
ここでは、その中から特に評判の高いモデルを、再現する仕組みごとに整理して紹介します。
大きく分けると、磁気テープをシミュレートする「テープエコー再現モデル」、独特の揺らぎを持つ静電式ディレイを再現する「オイル缶ディレイ再現モデル」、そしてバケツリレー素子を使った「BBDアナログディレイ・モデル」の3系統があり、それぞれ得られる質感が異なります。
テープエコー再現モデル
磁気テープのループ走行を再現し、独特の暖かみと揺らぎを持つリピートを生み出す系統です。
Maestro EchoplexやRoland Space Echoといった名機を狙ったモデルが中心で、ハイエンド機ほどテープの経年変化やモジュレーションを細かく作り込めます。
オイル缶ディレイ再現モデル
オイル缶ディレイは、オイルを満たした缶の内部で静電的に音を反響させる、テープとは異なる方式の機械式エコーです。
バンド幅が狭く、不規則に揺れる有機的なリピートが持ち味で、近年その独特の質感を再現するモデルが増えています。
BBDアナログ(バケツリレー)ディレイ・モデル
BBD(バケツリレー素子)を用いたアナログディレイは、Deluxe Memory Manに代表される、暖かく滲んだリピートが魅力の系統です。
デジタルのモデリングでBBDの質感を再現したモデルから、実際にBBDチップを積んだ完全アナログ機まで、各社の個性が表れます。